朝日新聞デジタルにこんな悩み相談が載っていました。
相談者:男、公務員、49歳、子ども3人、結婚20年
夫婦共に犬・猫好きではないのに、妻が相談もなく突然チワワを買ってきた。
夫は激怒し、ペットショップに返そうとしたら、妻は「返すなら離婚」と言い出た。
「どうして犬一匹のことで離婚になるのか」「犬一匹の問題ではない」と深い話になりそうになり、夫はたじろいた。
すると妻は、チワワを3匹に増やし、「そんなに私と離婚したくないのか」と完全勝利宣言をした。
夫は、亭主の沽券(こけん)にかかわるので、犬には指一本触れてはおらず、散歩など絶対つきあってはいないが、近づくとえさを欲しがるので、ドッグフードを一粒ずつはやっている。
離婚話に発展しないようにしつつ、亭主の威厳を回復するには、どうしたらいいのか。
回答者:社会学者・上野千鶴子 犬を手なずけてみたらどう?
結婚20年、3人の子どもたちも手を離れるころ。夫婦ふたりで向き合わざるをえない「空の巣」期がすぐそばまで来ている。犬を飼うのは子育ての代償。
子どもが育ちあがれば夫婦は仕切り直しの時。目下妻は老後へ向けて、家庭内の版図をじわじわと拡張中。夫に無断で犬を買ってきたのはその第一歩。「わたしはあなたの思うようにはならないよ」というデモンストレーション。
ここで一歩退いたあなたは、これから先も次第に譲歩を余儀なくされるはず。
それを予期しているあなたは、その「不快な現実」に直面するのがイヤで、犬をめぐる夫婦喧嘩に話を矮小(わいしょう)化しているだけ。
妻と老後も過ごしたいなら、白旗を掲げる以外にない。しかし、亭主としてカッコもつけたいなら、犬を味方につけたらよい。犬は、家族の中の序列をただちに見抜き、その中で一番の権力者に従う。犬を手なずけて「どうだ、オレの言うことをきくだろう」と自慢すればよい。
ただし、犬がほんとうの権力者は妻の方だと見抜いたら、老後の平和のためにムダな抵抗はしないこと。
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夫の方は、妻が「相談もなく」というところが引っかかっているだけでしょう。チワワではなく、バッグや靴の購入、あるいは友人との海外旅行を相談もなく決めていても、同じような抵抗を夫はしていると思います。
相談者が「ドッグフードを一粒ずつはやっている」と言っているところで、この問題は解決していますよね。そのうち、帰宅の途中で愛犬のおやつやおもちゃを買いすぎて、奥さんに怒られるだろうことは想像できます(笑)。
それらが分かっている回答者の上野さん。だから、文章は、迷わずサラサラっと書かれているという印象があります。
夫と妻が逆の立場ならどうなのでしょう?