人間や犬の肝臓は、解毒という働きをします。しかし、猫の肝臓には、重要な解毒機構のひとつであるグルクロン酸抱合(ほうごう)というのがありません。そのため、植物中の成分が蓄積しやすく、中毒に陥りやすいのです。
アロマテラピーに使われる精油(エッセンシャルオイル)も危険だと言われていますが、今回は猫に悪影響を与える植物の中でも特に毒性が強く、必ず避けてほしい植物について、獣医師・山本宗伸先生が解説されている記事をご紹介します。
イチイ
●カランコエ属、キョウチクトウ、ジギタリス、スズラン、イチイ
カランコエ
キョウチクトウ
ジギタリス(キツネノテブクロ)
スズラン
イチイ
心臓に影響を及ぼす成分が含まれています。葉から茎まで全てのパーツに中毒成分が含まれ、不整脈などで突然死する可能性があります。
●プラム属
リンゴ、アンズ、チェリー、モモ、ウメ等
種には中毒の原因となるシアン化物が含まれています。シアン化物は他の動物にも毒性を示しますが猫は特に注意が必要です。また、種が腸に詰まり、閉塞を起こすこともあります。症状としては痒み、不安行動、めまい等です。
●ナス科
イヌホウズキ
チョウセンアサガオ
ニオイバンマツリ等
特に未熟な果実に中毒成分が多く含まれます。副交感神経に影響を与え、散瞳(黒目が大きくなる)、嘔吐、ふらつきなどの症状がでます。ニオイバンマツリは、神経毒性があり、黒目が揺れる(眼振)などの症状を起こし、死に至ることもあります。
●キンポウゲ科
キンポウゲ
クレマチス
アネモネ等
アルカロイドという毒性の成分を特に葉と茎に多く含み、食べてしまうと嘔吐、血便、腹痛などの症状が現れます。
●サトイモ科
スパティフィル
アイビー
フィロデンドロン
ディフェンバキア等
シュウ酸エステル結晶が多く含まれ、食べてしまうと口の中を刺激し、口内の痒み、過剰なよだれ、気道閉塞、また痙攣などの神経症状などがでることがあります。
●ユリ科
ユリ、チューリップ、スズラン等
花粉でも吸引してしまうと症状がでることもあり、猫にとってもっとも気をつけなくてはいけない植物の1つです。症状は嘔吐や、元気消失、腎不全などの症状がでます。治療法がなく、一口でも食べてしまうと命に関わることがあります。
●トウゴマ
トウゴマ
リシンという毒性の成分が含まれ、消化器症状、心不全、けいれん、腎不全などが起こることがあります。
●ソテツ
ソテツ
サイカシンという毒性の成分が含まれており、重度の嘔吐、下痢、運動失調、肝臓壊死などが起こる可能性があります。
●イヌサフラン
イヌサフラン
コルヒチンという物質が含まれており、腹部痛、麻痺、痙攣などを起こします。
●ツツジ属
シャクナゲ
アザレア
ゲッケイジュ
グラヤノトキシンという毒性の成分が含まれており、嘔吐、不整脈、運動失調、元気消失などを起こします。
以上の植物は、過剰摂取すると犬にも危険なものばかりです。プラム属の種などは、床に落とさないように注意しましょう。観葉植物を選ぶときは、猫にとって危険ではないか確認しましょう。
上記の植物には別名があったり、地域によっては異なる名前で呼ばれている場合がありますので注意してください。
記事元
食べたら突然死!? 猫がいる部屋に絶対に飾ってはいけない花・植物一覧
製油(エッセンシャルオイル)の危険性についてはこちら
猫がいる家でアロマをたくと命にかかわる!? 獣医師が解説