自転車に乗って、愛犬をリードにつなぎ、併走する飼い主さんがいますが、この行為は道路交通法違反になるそうです。
道路交通法の規定
道路交通法の第70条(安全運転の義務)は、次のように規定しています。
「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」
専門家の見解
法律家は、「愛犬をリードでつないで自転車を運転していた場合、愛犬の予期しない行動によって、ハンドルが取られ、周囲の歩行者に危険を及ぼす可能性が高いので、道交法に違反していることは明らか」だと言っています。
周囲の人から見ると
同じ犬の飼い主から見ると、「わんこは楽しそうだなぁ」と思う一方で、「ハァハァと言って、わんこは苦しくないのかなぁ」とか、「突然わんこが止まったり、違う方向に引っ張ったりしたら危ないなぁ」などと思います。
犬を飼っていない人から見ると、後者の「危ないなぁ」と思う方が強いでしょう。
改正道路交通法
自転車による悪質な違反行為が急増しているという背景を受け、2015年6月1日に改正道路交通法が施行され、自転車による交通違反がより厳しく取り締まられることになりました。
違反を3年以内に2回行うと、警察本部や運転免許センターでの3時間の安全講習が義務付けられます。
また、命令を受けてから3カ月以内に受講しなければならず、命令に従わないと、5万円以下の罰金が科されます。
自転車運転者講習の受講命令の要件となる危険行為は14項目あり、愛犬をリードにつないで自転車と併走する行為は、14項目中の安全運転の義務(前述)違反に該当します。
だったらノーリードで自転車と併走すれば?
環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」や各都道府県の条例により、原則として、犬を制御できる者が、犬を道路等屋外で運動させる場合は、けい留(リード)が義務づけられています。
原則から外れるのは、適正なしつけ及び訓練がなされており、人の生命、身体及び財産に危害を加え、人に迷惑を及ぼし、自然環境保全上の問題を生じさせるおそれがない警察犬や狩猟犬等を、その目的のために使役する場合です。
ノーリードによる犬の散歩をしている飼い主は、理屈や法解釈を並べることで、ノーリードを主張することは可能ですが、犬を飼っていない人や犬恐怖症の人にとって、ノーリードは迷惑行為だと思います。
警察やマスコミは、事件にならないと取り上げませんので、そうなる前に、愛犬と自転車で併走する行為を自制してほしいと思います。
記事元
自転車に乗った「飼い主」と並走する大型犬 「道交法違反は明らか」と弁護士