犬の心臓病とその治療法 僧帽弁閉鎖不全症とは

犬の死因の中で、心臓病はガンに次いで二番目に多いとされています。

記事内容と写真は関係ありません。

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先天性心疾患

1,000頭に1頭の割合であるとされ、生まれたときから異常を持っている心臓を先天性心疾患と言います。

原因には、遺伝性や妊娠中に何らかの原因で心臓の発育に異常が生じた場合などが考えられています。

これに対して、あらゆる犬種に発生する可能性のある後天性の心臓病が、僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)です。

僧帽弁閉鎖不全症

犬の心臓はヒトと同じく、4つの部屋(右心房、左心房、右心室、左心室)があります。正常な血液循環は、右心房→右心室→肺動脈→肺→左心房→左心室→大動脈の順番です。

心房と心室の間には、血液の逆流を防ぐ弁があります。右心にあるのを三尖弁(さんせんべん)、左心にあるのを僧帽弁(そうぼうべん)と呼んでいます。

この左心にある僧帽弁が、変性して機能しなくなり、血液が左心室から左心房に逆流してしまう疾患を僧帽弁閉鎖不全症と言います。

症状

・心臓から血液が十分送られないことによって失神してしまう。

・肺からの血液が心臓に戻ってこられないために肺に水が溜まってしまう。

・心臓は心機能を維持しようと一生懸命に動くために心肥大が起こり、その大きくなった心臓が気管支を圧迫したりして咳が出る。

治療方法

人間の場合は、手術で弁を交換することができますが、動物の世界では動物の寿命の問題などもあって、現実的にはほとんど普及していません。

通常は内科的治療が行われます。具体的には、血液の循環を高める薬、心臓の収縮力を少し強める強心作用のある薬、水がたまった時には水を減らすための利尿剤、咳が出る場合には気管支拡張剤などが処方されます。

また、全身の血管を拡張させて心臓からの弱い圧の血液も受けられるように降圧剤(ACE阻害剤)を用いることもあります。

食事は、低ナトリウム食を与えます。

咳をしたり運動をしたがらないような場合には、獣医師の診察を早めに受けてください。

参考:『イラストでみる犬の病気』(講談社)

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