精巣を取り除くのが、去勢手術です。
・精巣や性ホルモンにかかわる病気を予防できる。
・マーキングやマウンティングの改善ができるかもしれない。
デメリット
・全身麻酔のリスクがゼロではない。
・太りやすくなる。
<前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)>
高齢犬に多く、ホルモンバランスの崩れから起こるとされています。
膀胱と尿道の間にある前立腺が大きくなることによって尿道を圧迫し、尿が出にくくなる病気です。
進行すると、炎症を起こし、痛み、尿道から分泌物や膿が出るようになります。
腹部を押すと痛がり、発熱や元気がないといった症状が起きます。
前立腺腫瘍や膀胱炎などを引き起こす可能性もあります。
外科治療としては、去勢手術をするか前立腺を摘出します。
ほとんどの場合、去勢手術をすると完治します。
内科治療としては、ホルモン剤を投与します。
<精巣腫瘍(せいそうしゅよう)>
お母さんのお腹の中にいるとき、精巣(睾丸)は腎臓の近くにあります。
生まれる直前から生後30日以内に、精巣は正しい位置におさまります。
しかし、正常におさまらない場合、精巣腫瘍になる確率が高まります。
その確率は、正常な位置にある精巣の10倍と言われています。
症状としては、元気喪失、食欲不振、痛みなどです。
幼犬のときに健康診断を受け、精巣の状態を確認してもらいましょう。
もし、精巣が正しい位置にない場合、早期に去勢手術をすることが望ましいとされています。
マーキングの尿は、通常の尿とは違い、性ホルモンの影響できついニオイがします。
去勢することで、このきついニオイが軽減される可能性があります。
マーキングそのものもなくなる場合があります。
去勢をすれば必ずマーキングがなくなるということではありません。
例えば、室内でマーキングをする場合はストレスが関わっていることが多いいので、ストレスの原因を取り除いてあげることで、マーキングをしなくなることもあります。
マウンティングは、交尾をしているときのように、人の足や物(クッションやぬいぐるみなど)に対して腰を振る行為です。
去勢をすることで、マウンティングがおさまる場合があります。
マウンティングをすると飼い主が喜ぶ(かまってくれる)ので、くせになってしまうことがありますので、マウンティングをしだしたら無視するか、マテ・フセなどをさせることでおさまることもあります。
老犬や心臓・肝臓・腎臓に疾患がある場合は、リスクが高まります。
また、麻酔剤の種類によっては、合わなかったという結果になる場合もあります。
手術を行う前に、事前検査をする日があります。
この検査で問題がなければ、全身麻酔のリスクはほぼありません。
全身麻酔による死亡率は、1000頭に1頭ほどで、人間の10倍のリスクがあるようです。
基礎代謝が減少することによる肥満傾向があります。
去勢手術に適した年齢は、生後6~10ヵ月以降です。
健康であれば、生後6~10ヵ月以降、いつでも手術はできますが、男性ホルモンが成熟する前に手術をすると(生後6ヵ月~1歳ぐらい)、穏やかな攻撃性のない性格なると言われています。
参考:『犬の医学大百科』(日東書院)『イラストでみる犬の病気』(講談社)